「はじめまして」
野焼き前の平尾台はとても静かです。鳥の声が響くほどにシンとしています。この時期は人よりも鳥のほうが数は多い気がします。ホオアカやセッカなどの渡り鳥がやってきて、よく空を飛んでいます。先日、雪がちらつく中、店の窓から外を覗くと木に止まっていました。広葉樹のエノキは葉も実も落ちて、春のために冬眠中なのですが、鳥たちの休憩場所になっているようです。
はじめまして、平尾台でカフェをしている原田優といいます。今年から、平尾台びよりを書いていくことになりました。よろしくです。仕事は店と宿のことをしながら、ここにいることが仕事です。山の小屋番さんのような日々を綴っていこうと思います。
一回目はこの場所について少し話したいです。
平尾台にやってきて3年がすぎました。あっというまですね。『月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也』と芭蕉も言っている通り、日々は旅のように流れていきます。3年前は店も月に数回の営業でしたが、いつからか週4営業になり、毎日たくさんの旅人が訪れてくれるようになりました。
店のある場所は、山の上です。といっても、本州の穂高や八ヶ岳ほど標高はなく、およそ370~710mです。岩山に分類されるのでしょうが、ゴツゴツと厳かな感じではなく、ポツポツと滑らかな石が広がっています。大きな木々は少ないので背丈の低い植物が広がっていますから、高原とも言われます。その景観が、まるで羊の群れのようなので、そこから、うちの店名は名付けられました。名をひつじカフェと言います。
ひつじはひとりで営業していますが、最近はいつもやってきてくれる地元の人や常連さんが、忙しいと手伝ってくれることが多くなりました。平尾台の草原では、ひとりの羊はいないんですよね。だいたい集まってきます。よき名前をつけてもらいました。
店ではスパイスカレーをつくっています。ドリンクは珈琲やほっとチャイなどがあって、最近はケーキを作りはじめました。山には甘い誘惑がつきものらしく、意外と好評です。ぜひ、味見しにきてください。
そんな感じで、小さな山小屋をめざしています。私は海外に何度か行ったことがあるのですが、いつも僻地にある山小屋の灯に助けられていました。この話はまたいつかしたいのですが、ほんのりのあたたかい場所があると、最後まで旅を続けようという気になりますから、そんな場所にしたいです。
書きながら、はじめて、というのはいつもまとまらないことを思い出しました。たくさん溢れちゃって、寄り道ばかりです。ぼちぼち続けようと思います。今回はこの辺で。
次回以降も、みなさん、どうぞ、よろしくです。